【機能不全家族】アダルトチルドレンの癒しを考える【家族との付き合い方】

皆さんこんにちは、オフィスTヒーリングセンターの外川(とのかわ)です。

オフィスTヒーリングセンターでは、アダルトチルドレン、インナーチャイルド、対人恐怖症、コミュニケーションが苦手など、対人関係のお悩み、家族間のお悩みからの回復に取り組んでいます。

ゴールデンウィークに母の日と、イベントが続きましたが、いかがお過ごしでしたでしょうか?

マスクも解禁になり今年の連休は、開放的な気分で、過ごされたでしょうか?

オフィスTでは、GW、母の日、お盆に、クリスマス、お正月など、家族の距離が近くなる季節は、ご相談が増える季節でもあります。

悩みの処方箋

第1回 アダルトチルドレンの癒しを考える

原因のない苦しさはありません。


ACのお悩みの原因は、一人では見えにくいものです。

それは、小さな頃から日々の中で傷つきが起きているために当たり前の事になっていて、傷ついていることさえマヒしてしまっていて気づいていないことがあるからです。

ACの皆さんにとって、家族が集まる時期は悩みの多い季節ですよね

多くの方が実家に帰省されるこういう時期は、 AC(アダルトチルドレン)の方は毎年、実家に帰るか帰らないかという大きなお悩みが出てきます。

コロナ禍で感染が拡大していたときは逆に親の方から、

「コロナがうつるといけないから、帰ってくるな」とか、

「東京に住んでいる娘家族が、東京ナンバーの車で帰ってくると、近所から嫌がられる」と歓迎されなかった方。

あるいは、「息子が帰ってこない」と、母親の方が「見捨てられ感」で、孤独に落ち込んでしまう方もいらっしゃいます。

母の日も、問題が発生します。

母の日だから何かしなければと、プレゼントを贈っても、素直に喜んでもらえないという方もいます。「こんな、無駄なお金使って!」と文句を言われたり、プレゼントを受け取ってはくれるけれど、ポイ!とされる。

次に実家に行くと、ほこりをかぶっていたと。

子どもとしては、やはり“お母さんを喜ばせたい”

小さい頃から、喜んでくれなかったのに、また、わざわざ自分から傷つくことをしてしまったと、悲しみと怒りを抱えて連休を悶々として過ごします。

家族って難しいですね。

お正月や連休は親と同居の方も、会社や学校がお休みで、いつもはあまり顔を合わせなくても、この時期は家族みんなが家にいて、問題が起こりやすいのです。

問題が起きるのは分かっているのに、なぜわざわざ帰省するのでしょう?

顔を合わせるとケンカになるのは分かっているのに、なぜわざわざ帰るのでしょう。

そこにこそ、満たされない思いがあるので、今度こそ今度こそと思いながら、冷たい母親に挑みに行くのです。今度こそ、「喜んでね」今度こそ「うれしそうな顔してね」と。

これが母親との関係です。愛してくれない人に、今度こそと愛されるのをひたすら求めるのです。

そして結局今度も失敗するのです。どうしてもあきらめきれない。どうしても愛されたい。

その思いが辛いですね。

ACの方には、こうした共依存という苦しい関係が無意識のうちに起きてしまいます。

その思い、関係性に気づき、改善していくのも取り組みの大きな課題です。

ただ、

癒しをしておられるクライアントさんたちには、家族を客観的に見ることが出来るチャンスです。

ある方がおっしゃるには、

Aさん

「今年は、家族を客観的に見ることが出来ました。そうしたら母の行動の癖が良く分かりました。」「父親が悪いとばかり思っていましたけど、実は母も、父が怒りそうなことを言っているんです」「あれでは、父もイライラするはずです」

癒しが深まってきていると、今まで当たり前と思っていた家族の在り方や、親のその行動の意味が分かってきます。するとご自分も冷静になることが出来て、比較的楽に親と関われるようになっていきます。そうやって徐々に苦しさから抜け出していけるようになるのです。

そこでオフィスTでは、正しい知識は癒しの大いなる力になるので、グループセラピーでは、シェアリングだけでなく、その時々に必要なお勉強をしています。

ACの苦しさ(トラウマ)は、無意識の行動に現れてきますので、自分のその考え方も行動も、意味があってそうなっていることを知っていきます。

そして共依存など、トラウマの影響を受けて苦しんでいることなども学んでいきます。

人はどこまでも生まれ育った家庭を追い続ける

「あなたの一番になりたくて」(外川著)にも登場していただいたK子さんは、4才の頃、「私がしっかりしなきゃ、家族がバラバラになっちゃう…」と思ったことを覚えていると言います。

だから「母親の言うように、ちゃんとできなきゃいけない」と思いどんなに寂しくて辛くても頑張ってきたのです。家族を維持するためにしてきたことの中には、お母さんから殴られることも含まれました。

では、子どもはそこまでして家族の何を維持しようとしているのでしょうか。

それが「家族のシステム」です。

例えば、K子さんの家庭では、父親は家族に無関心で、母親が子供を叩いていました。子供はあくまでも子供でい続け、怒鳴られたり叩かれたり、注目されなかったりする役割です。それが家族システムのホメオスタシス(内的均衡)を保つのです。

この原家族のあり方が、その人のモノの考え方や人間関係のパターンを作り出しています。そして大人になった今も、家族だけでなく、外の世界でも同じ役割、行動パターンを遂行しています。親との関係がその人の人間関係の基礎になってしまうのです。

ですから、その人の悩みや問題を解決しようとするにあたって、その人の生まれ育った家族システムに目を向ける必要があるのです。特にACの癒しをするときには、外すことのできない視点です。

あなたの「考え方」「人づきあい」の仕方は、家族の中で培われた

人は悩んでいると、視野が狭くなり考えが堂々巡りをしたり、この状況から抜け出せないのではないかと絶望的になってしまうことがあります。

ACのクライアントさんの中には、「私は親との愛着関係が築けていないから、最初からダメなんだから、良くなり様がない」と思い込み、絶望的になられている方は多いものです。

でも、その傷み(いたみ)こそ取り組むべき課題なのです。そしてそれは、改善されるべきものです。

ACの生きづらさを抱えて悩む方々は、「自分がダメだから」と考え、自分ばかりを責めすぎていることが少なくありません。しかし、その考え方も、生まれ育った家族のシステムの中で培われたものなのです。その考え方、行動の仕方そのものが、実は家族のシステムを支えているのです。

ACの癒しに取り組む場合、その人の辛さや苦しさ、生きづらさが、どこから来ているのかと考えます。

個人だけの問題で起きていることなのか、もしくは関係性の中から発していることなのか?というように、その人だけのことをみるのではなく、「家族との関係」も視野に入れてその問題をみます。 個人の人間関係は、その人の生まれ育った「家族」(原家族)の影響を強く受けているものだからです。その人がどのような家族関係の中で生きてきて、どのような考え方を持って他者と関わっているのか。そして今起きている問題や状態、病気は何を表現しようとしているのか。それは家族のシステムを維持するためにどのような役割を果たしているのか?などと考えを巡らせます。

あなたはどんな役割を背負って生きてきましたか?

ジェノグラム(家系図)を書いて眺めてみると、家族がより明確に見えてきます。

図のジェノグラムをご覧ください。

厳格な祖父に育てられて父親は、より完璧なエリート人間を目指してワーカーホリックとなります。

長男は、そんな父を見て育ちますが、父のようにはなれずに挫折してしまいます。

従順に夫に従う妻(母親)は、夫や息子からはかまってもらえず、娘と密着してしまうのです。

その母親の家族を見てみると、すぐに怒鳴る父親(祖父)がいました。

すると、母親は強い緊張感の中で育った人ということになります。

ゆえに対人関係に恐怖心があります。そのために、常に人の顔色が気になり、強い人には従順になり、弱い人をコントロールしようとしてしまうのです。(まさに父親が力で支配するように)それゆえに娘には過保護なほどにかまいます。

こうした親と子が織りなす人間関係の中で、親は家族を維持し、子どもたちはそれぞれの役割を担って、その人間関係の中で生きてきます。

暴力にも、引きこもりにも、摂食障害にも意味がある

例えば、親の期待に応えるという役割を担った子供は、その期待に応えようとして頑張ります。でも親の望むほどにはできないと感じ、苦しくなります。頑張れば頑張るほど苦しくなります。そして「自分はダメだ、もうできない」となると、その気持ちを何かの形で表現します。

それが家庭内暴力や引きこもり、摂食障害です。

それらを家族療法では症状行動といいますが、この行動の意味を真に理解して、家族の問題に取り組んで、ご自分も成長していき、それまでの家族を維持していた力の均衡が変化し、改善の方へと進んでいくのです。

家族とは、成長するものです。

子どもが生まれることで夫婦は親となります。そして子供は成長し、家族もまた成長していくのです。子供は思春期を迎え、成人し、社会に出ていきます。家族は、そうした発達段階に応じた課題をこなしながら、形を変え、親もまた成長していくのです。

家族の中でこの成長の段階を一つ一つクリアしていけると良いのですが、スムーズに移行できないとき、問題が起きます。子供の行動は、母親の気持ちを表現しているなんて言うことがあるのですよ。

例えば、子供が成長し、家を離れたら、家族に関心のない冷たい夫と2人になってしまう…

それはイヤ。だからいつまでも子供にそばにいて欲しい…必要とされていたい…子供がいなければ自分が不安…。意識的にも、無意識的にもこんな思いを抱いていたりすると、子どもが問題を起こしたりするのです。

なぜ?とお思いでしょうか?子どもは、問題を起こすことで母親の必要とされたい気持ちを満たしているのです。

子どもは、母親が口に出して言わないこと(裏メッセージ)も上手に読み取ります。

「親の心子知らず」と言われますが、子どもは親が知る以上のことを読み取っているように見えることはあります。

母親は、問題が起こればもちろん困ります。でも、それに悩み、対応策に奔走することで、自分自身の抱える夫との満たされない人間関係に直面せずに済むのです。

そうなると、何がいけないの?誰がいけないの?となりますね。

ですから、家族がどうなっているのかを理解しなければ、家族が幸せになれませんね。

でも、まずは家族のために癒しをする(これはまた共依存の関係になってしまいますね)のではなく、自分のために癒しははじめてくださいね。

例えば、お母さんが楽になると最初に変わってくるのがお子さんです。

「最近、ママ、怒らなくなったね」とお子さんに言われたという方もいましたよ。

やはり、お母さんが怒らなければ、お子さんはリラックスします。お子さんが明るくなりますね。 「夫と、コミュニケーションが増えてきた」という方もいました。

お母さんが明るくなると、家族が変わります。

機能不全家族は変化を嫌う

ACの家族は変化を嫌います。どんなに不健全な形であっても、慣れ親しんだ元のままの家族システムを保とうとしたがるのです。それも無意識のうちに。

親の前に出ると、なぜか無意識に「35歳の自分がまるで5歳児のように振る舞ってしまう」

という方は少なくありません。その親子間には、5歳の子どもと親という関係を必要とする家族システムがあるということですね。でも自分はいつまでたっても大人になれません。

親に似た人に関わるときにも、5歳児になっているときがあります。それがACの苦しさです。これは会社で良く起きています。

すぐ怒る、あるいはキツイ言い方をする上司や先輩に出会うと、親に怒られていた5歳児に戻ってしまいます。良く皆さんが「頭が真っ白になる」というときがこの状態です。

親に怒鳴られているその時に一瞬で戻ってしまいます。

だからさらにうまく話せなくなってしまうのです。

ですから、ご自分の悩み、家族の問題も客観的な視点で眺めてみると、今まで気づかなかった色々なことが見えてくるかもしれません。それと同時に問題解決の糸口がみつかるかもしれません。

原因のない苦しさはありません。

ACのお悩みの原因は一人では見えにくいものですが、ジェノグラムを書いて見られると、自分が悪いわけじゃないことが見えてくるかもしれません。