第38回 清里ワーク【アダルトチルドレン/インナーチャイルドワーク】

皆さんこんにちは、オフィスTヒーリングセンターの外川(とのかわ)です。

オフィスTヒーリングセンターでは、アダルトチルドレン、インナーチャイルド、対人恐怖症、コミュニケーションが苦手など、対人関係のお悩み、家族間のお悩みからの回復に取り組んでいます。

2023年3月の清里は、チラチラと雪が舞う寒い清里でした。

東京ではもう桜が咲くというのに、清里の気温はー5℃、幻想的な霧に包まれて、厳粛な気持ちが深まっていきました。

清らかな自然の中で、日常の忙しさや、人間関係のしがらみから離れて自分の癒しに向き合います。

場所は、夏の行楽シーズンには100人もの人が並ぶというあのソフトクリームで有名な、清泉寮です。

ACの癒し、トラウマからの回復

ACの方々が抱える傷みは、幼いころから日常の中で味わってきた苦しさです。

それは家庭内トラウマといいます。それは複雑性トラウマといって、大きな事故にあったなどの一つのことがトラウマになっているのではなく、日常の中で何度も何度も繰り返される傷つき体験です。

本来はもっとも安心出来るはずの我が家の中で、味わってきた傷み。見捨てられ体験です。

トラウマというと「殴られる」とか「虐待」とか、何かひどいことを思いがちですが、見えにくいものもあります。

親の概念に偏りがあって、親の言う通りにしないとひどく怒鳴られたり、そのたびに見捨てられる恐怖を味わいます。自分の居場所も、自分の考えさえも持てなくなって苦しんできた方々の癒しのワークショップです。

小さなころからそれが日常ですから、それが自分の親、家族のやりかたですから、これが当たり前となっていて、例えば毎日殴られたとしても、自分が悪いからと思い、それが虐待とは思わずに生きてくるのです。そこに歪みがあって、生涯にわたって子供を苦しめる傷になるのです。

親にかまってもらえない寂しさ、親のケンカ、暴力、それを見るだけで子供は傷ついています。

でもそれも日常的な事ですから、傷ついていることさえ、マヒしてしまっていて「またいつものことだ」「大したことじゃない」と否認して「自分は傷ついている」と感じていないことがあります。

参加者Aさん

小さい頃から、何かは感じているのだけれど、モヤモヤしているだけで、

「これが淋しい」という感情なんだと知ったのは、3年前です。 とおっしゃる方もいました。

ただ周りの大人の顔色を見て、家族が壊れてしまわないようにと、いい子をやりつづけたり、

様々な形で生きにくさを抱えてしまいます。

オフィスTには、コミュニケーションが苦手、人が怖いなど、人との関わりに悩まれる方が多くいらっしゃいます。

多くの方が、親、祖父母との生活の中で傷ついて本来の自分を発揮できずにいる自分を責めて

ています。

そのようなトラウマを抱えたACの方々が、苦しさから解放されて、自分を生きていけるようになるには

自分に何が起きていたのかを理解して、自分に責任はなかったのだと受け入れて、さまざまな苦しい思いを吐き出して、涙して、語りつくして、整理して、 過去のトラウマに決着をつけていく。そしてトラウマを過去のものにして、前に進んでいくための優しい時間場所が必要なのです。

清里は、その一連の作業の凝縮した、優しい時間を過ごす場所なのです。

皆さんは2週に一度のセッションやグループを通して日々の中で気づきを深め、そして清里へやってきます。「半年に1度の総まとめみたい」と皆さんおっしゃいます。

ここには、癒しに必要なものの全てがあります

3月の清里では、うっすらと白く積もるくらいの雪が降っていました。

東京に住んでいると、うっすら積もったくらいでも、うれしいものですね。

日本には四季の移ろいがあって、その時々の季節に触れて、とても豊かな気持ちになります。雪が降って白くなった世界の中で、静かに癒しをする。

それだけでもいつもと違う景色に感動して心が豊かになりますね。

雪が沢山降った時は、みんなでソリで大はしゃぎで遊びます。20代の人も、60代の人も、一緒に大声を出して遊びます。

東京にいたらできないことです。皆さんも自分にかけられた制限をとっぱらって、思いっきり自分を開きます。心ノビノビにしてキャーキャー叫びながら雪の上を滑っていく、心を十分に開いて子供の頃にできなかったことをするのです。

ありのままの自分を表現しました。それでも大丈夫だった。誰もバカになんかしなかった。

そういう体験を重ねて「大丈夫」を覚えていきます。

さらに以前には、女の子対男の子で雪合戦をしました。

もちろん女の子チームの勝ちでした。こういうときも女子は強いですね。

こうやって体験を増やしていくことで、人が怖いという感覚もだんだん平気になっていくのです。

今年は寒かったので、ソフトクリームを食べただけでした。

前回の10月には、ヘイライド(干し草を積んだトラクター)に乗って草原を一巡りしました。

小さい男の子だったら、興奮状態になるのでしょうけど、面白くはありました。

高原の空気も、心を開くのに役立ちます。

高原の空気は澄んでいて、とても清々しいものですね。ヒンヤリとした、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、それだけで健康になってしまうような、清らかな空気です。

そして澄んだ空気は景色もクッキリ見せてくれるのです。遠くの山も葉っぱの形もクッキリはっきり見えるんです。まるで目が良くなったみたいに細かいところまで良く見えます。

夜には満天の星空です。東京では見れない星の数に驚きます。

きれいな空気というのはこういうことなんですね。心が洗われる気がします。

そして八ヶ岳ブルーと言われる真っ青な空は、さらに心を解放してくれます。

参加者Bさん

こんなこと言ったら「変」と思われないかと、いつもは怖くて自分の気持ちを素直に言えないのですけれど、ここではあまりにも美しい青い空を見て、思わず「きもちいい~」と

いつもより大きい声を出してしまいました。 

あまりにも美しい青い空と、ひんやりとした透き通った空気、木や草の香りが閉じていた心を開いてくれたようです。

何も心配せずに、そのままの自分をそのまま出せるって、なんて気持ちが良いのでしょう。

今、感じた気持ちを、今、そのままに言えるなんて、なんて楽なんだろ。

清里は、そこにあるものの一つ一つが、癒しに繋がっているんですね。 行くだけでも癒されるところです。

そんな自然の美しさの中で、今回も参加者の皆さんと、かけがえのない時間を過ごしてきました。

体験することでしか、身につかないのです。

初めて参加される方は、やはりとても緊張されます。

そもそも「人が怖い」、コミュニケーションが苦手。それなのに慣れない人と2泊3日も一緒に過ごすこと自体怖いですね。 ワークも、「トラウマの癒し」なんて、すごく怖いことをするんじゃないか、そもそも、ちゃんとできるかしら?笑われたり、変な人と思われたりしないかしらとか、次々に不安が浮かびますよね。

でも、だからこそ体験をしてみないと何も変わらないのです。

何もかもが初めての体験ですから、緊張して当たり前です。

でもその感覚は参加されている方、誰もが初参加の時に味わったものです。

ですから実際は、皆さんがとても親切に接してくれます。自分が初めて参加したときの緊張や不安を体験しているものですから、初めての方にやさしくできるのですね。

でも、ワークが進み涙を流される方に、どう接したらよいのか戸惑われる方もいます。

それは自分が泣いていても優しい目を向けてもらったことがないから、あるいは放っておかれたなどの体験しかないから、どうしたらいいのか分からないのです。

それが体験です。

ですからたくさんのことに触れて、体験し、感動したり、実際に味わうことが大事なのです。

ワークも頭だけでなく、感情にフォーカスしたり、言葉だけで表現するのではなくて絵で表現したり、触れ合ったりと、五感も充分に使います。

すると、こういう温かい感覚を味わったことが無いな、と気づきます。

「私は、お母さんに手をつないでもらったことがない…」など思い出します。 さらに、泣いている方の慰め方が分からないのも、してもらったことがないから、どうすればいいのか分からないと、自分が得られていなかったものが分かってきます。

参加者Cさん

小さい頃に自分が感じた親への恐怖感に気づくことが出来ました。

母の冷たい視線、怪訝そうな表情…

それらを察知しながら、生きて来た。私はこのままじゃダメなんだ。

ありのままで生きたらダメなんだと、深く自分に刻み込んでしまった。 だから生きにくかったんだと、納得がいきました。

自分の生きづらさの原点に気づくのです

こういうワークをしてみると、人は理論、理屈だけで変われるわけじゃないと分かります

美味しいご飯と、甘いソフトクリーム、甘いものは、人生の甘味です。

そして人を幸せにするのは、やはり「自分の思いを聞いてもらえること」

「自分を分かってもらえること」そして、

「安心・安全を感じること」

それらは触れ合う人がいないと味わえません。

それに、安心・安全を感じて初めて人は心を開くことが出来るのです。

綺麗な空気と、八ヶ岳ブルーの真っ青な空。そして安心して隣にいられる人。

そしておいしいものを、好きなだけ食べられること。

それを十分に味わえるのが清里なのです。

人は生まれて最初に得ていくのは、安心感、安全感です。でもACの方は、親から最初にもらえるはずの、それこそをもらえなかったのです。

「自分のいる場所は安全で、自分は人に受け入れられているという安心感。」「自分も人を温かいものと安心して受け入れる」そうした中で伸び伸びと成長していけられたら、こんなに苦しいことにはなっていなかったのに・・・

それがなかったがゆえに、苦しいのです。

泣いてもすぐにミルクをもらえなかったり、おむつを替えてもらえなかったり、すぐ対処してもらえたとしても、めんどくさそうに扱われたら、自分は受け入れられていると思えませんね。そこから生きにくさははじまっているのです。

参加者Dさん

私の母は、たぶん、発達障害なのかもしれません。

本が好きで、いったん読み始めると他のことに目が向きません。

私は、ただ構って欲しかっただけなんです。ぐずっていたら、背中をポンポンしてなだめて欲しかったんだと思います。

私はただただ、ヨチヨチと声をかけてあやして欲しかった。

本に目が行っていても、片手だけでもポンポンしてくれていたなら、 ただそれだけで私は、死にたいとまで思わなかったのかなと感じました。

共住共食

2泊3日で、同じお部屋に泊まり、温泉にも一緒に入り、共に食事をする。

「共住共食」。 共に住み、共に食べる、これが家族です。

この2泊3日は共住共食、まさに家族みたいに過ごします。

美しい八ヶ岳ブルーの特別な青い空の下で、寒い寒いと言いながら、みんなでソフトクリームをペロペロ舐めるのです。

雪が積もればソリで遊びます。

そういう色々の体験があって癒されていくのですね。

参加者Eさん

グループセラピーの仲間と、今回はさらに距離が近づいた気がします。


今回の清里では、皆さんが本当に仲良さが深まった感じがしましたね。

38回目の今回も、かけがえのない3日間を過ごせました。

おいしい食事に、きれいな空気、あの寒さもいいですね。

ワークでいっぱい涙を流して、こころも軽くなったかしら?

でも、やっぱり、今回も、楽しかったですね。


ご参加の皆さんの感想

人は人と関わりながら成長していくことを知りました

初めての参加でしたので、とっても緊張していました。

また、このワークは今の私には役に立たないのじゃないかと思いつつも、参加しました。

でも、他の方の体験を知ることは、自分の癒しにおいてすごく役に立ちました。

今回私が体験し、気づいたことは、他の皆さんとの関わりなしには得られなかったものです。 ありがとうございました。

33才 ショップ店長

清里には、私の居場所があった

コロナでこれないときがあったので、1年ぶり、2回目の参加です。

他の参加の方とも久しぶりの再会ということもあって、今回は特にとても楽しかったです。

私はずっと居場所がありませんでした。いつもどう思われるかと人が怖くて、自分の気持ちは押し隠して人に合わせてばかりでした。

今回も1年ぶりの再会で、実はどう思われるかと心配でしたが、久しぶりに会えて皆さんが喜んでくれました。自分が感じるままに表現してもそのまま受け入れてくれて、清里は、自分が自分のままでいていいのだと思わせてくれる、安心安全な場所でした。

楽しく素敵な体験ができました。ありがとうございました。

40才 会社員 女性

来てよかった。

楽しかった。この一言に尽きます。

トラウマの癒しのワークなのに、楽しかったというのは変かもしれませんが、私にとっては、今までの団体旅行の楽しさと比較しても類を見ないくらいの楽しさでした。

私はまだ癒し初めで、苦しさとか、人間関係のうまくいかなさとかも、自分自身がそれをどう考えればよいのかとか、親からされたこともどう考えたらよいのかまだ何も分かっていないのだなということが良く分かりました。癒しの奥深さを知ったところです。

先ゆく人として、癒しをしっかり続けている方(癒しの先輩)にお会いして、自分もちゃんと続けていけば、こんな風に楽に生きられるようになれるのだと確信を得られて、とても安心しました。自分を癒せるところに、やっとたどりつけたのだと、本当に参加してよかったです。

38才 会社員 女性


次回の 

「インナーチャイルド・ワークin清里」は

2023年 10月 7~9日 です。

どうぞ自分をあきらめず、よりよい人生を味わってください。