皆様、こんにちは。オフィスTヒーリングセンターの外川(とのかわ)です。
人は一人では生きていけません。親、兄弟姉妹、妻、夫、子供、友人、職場の上司や同僚、
社会の中で、人と関わりながら生きているのです。その人間関係が悩みだとしたら・・・。
とても、つらいことですね。
自分らしい人生を創造するために
心地いい人間関係のつくりかた
第1回 「人間関係の常識」のウソ
自分自身の感情を正直に見つめ、
できるだけ自分自身を幸せにしていくようにする
みんな、頑張り過ぎていませんか
「人間関係に悩んだことはない」と言い切れる方はおそらくいないのではないでしょうか。
生きていれば、好む、好まざるにかかわらず、必ず人との関わりがついてきます。
毎日通うコンビニのスタッフの方や、2か月に一回しか美容院に行かないとしても、自分が生きていくうえで大切な関わりがある人たちですね。
昨今は、様々なことに対して考え方がかなり変化して、家族のあり方も変わってきていると思いますが、オフィスTにご相談に来られる女性の方々は、なかなか楽にはなっていないようです。
基本的に女性が家事全般を担い、働くお母さんであっても、子どもの世話も食事の支度も男性に比べてより多くの役割を求められています。
ACの方々の世界はまだまだ「ご飯は、お母さんが作るもの」そのうえ「手抜きしない・・・」、それがいいお母さん、いい妻と教え込まれてきたようにずっとそうしてこられて、それで苦しんでこられた方々が多いです。
仕事や趣味など、自分の世界だけでなく、地域のお付き合いや、夫や子供を通したお付き合いなど、その場の状況に応じた顔を持ち、器用に様々な役割をこなさなければなりません。そんな中で、頑張り過ぎて疲れてしまっている方が多いのではないでしょうか?
先日、「ウーバーイーツでいいんじゃない?」の「コマーシャル大好き」というお母さんがいました。そうなんですよね。絶対にご飯を作らないといけないわけじゃないんですよね。 本当に、お母さん方、お父さん方の意識を変えてくれたかもしれませんね。
よくある人間関係の誤解
私は、カウンセラーとして、日々クライアントの方のお悩みをお聴きしていますが、形こそ違えど、皆さんの抱える悩みの根底には必ず人間関係の問題があります。その中で、皆さんの言葉の端々に「おやっ」と思うことがあります。
例をあげてみましょう。
例えばA子さんは、「人間関係が嫌で仕事を辞めました」ところが転職先でも「人間関係が悪くて最悪!ホントに運が悪いんですよね」と話されていました。
しかし、彼女は運が悪いのではなく、コミュニケーションの仕方に問題があるのだと思えることがいくつか見つかりました。
例えば、「今回も、上司がキツイ人で、すぐ感情的に怒ってくる人なんです」「なんだか自分にだけキツイ気がするんです」とか。
そのように感じたり、上司の感情的なところにA子さんが強く反応しているということなのです。こういうところにも、実はトラウマの影響を受けた「感じ方の癖」や「考え方の癖」が潜んでいるのです。
また、Bさんは、「姑の問題にしろ、子どもの問題にしろ、自分は母親と同じ苦労をして、同じようなことで悩んでるんです。ホント、遺伝ってコワイですね。」と言われていました。
姿かたちや声が親そっくりになるのは、確かに遺伝によるものですが、生き方に関しては、お母さんの「やり方」をそのままB子さんが受け継いでいるだけで、これをDNAのせいにすることはできません。
このように、私たちは人間関係に関して、いくつかの誤解をしています。
人間関係は、決して生まれつきのものではなく、作られてきたものです。
ですから、「自分の意思によって変えていくことができる」ということです。
行動やしゃべり方に「癖」があるように、モノの見方や人間関係のつくり方にも「癖」があるのです。
生き方の癖が伝播し、常識が私たちを苦しめる
ではその癖は、どうやって作られてきたのでしょうか。
どんな人にとっても生まれ育った家庭が人格形成の最初の場であり、私たちは、親または周りの大人たち(祖父母など)の影響を受けて人格の基礎を築いていきます。子供は、親の影響を受けずして育つことはできません。
自分の家族の様子、親の考え方やものの見方をスタンダードとして子供の生きかたの癖は作られていきます。
赤ちゃんは、お母さんや周りの大人の話す時の口の動かし方をジーと見つめていることがありますよね。離乳食が始まる頃には、食べる口の動かし方をジーと見つめます。
そうやって覚えていくのですね。ですからしゃべり方がそっくりになったり、歩き方もそっくりになるのです。
このようにして自分の日常を疑うことなく「普通」と思って育ちます。
例えば、カウンセリングを始めて1年くらいして、初めて自分の話し方や、言葉の使い方が、かなり乱暴なことに気づかれた方がいらっしゃいます。
なぜずっと気づかなかったのかというと、それが我が家の普通だったからです。
母親が乱暴な言葉で叱責してくるのがいつものことで、父親はすぐに怒鳴ってくる。その二人のケンカを聞いて育ったので、人を責めるときはこうするのだと自然に覚えたのですね。
そうやって自分の人間関係、コミュニケーションにも影響が出ているのです。
他者と楽しくおしゃべりをするということが苦手であっても当然ですね。
あるいは、「育ててもらった恩があるから、いずれは親の世話をしないといけない」とか、「働き者のお母さんは偉い」「いつも働いてばかりのお母さんが可愛そう」
ご相談にみえるクライアントさんの多くが最初におっしゃる言葉、「親の悪口は言いたくないんですけど…」「家族のことで相談するなんて、恥ずかしいのですが…」など、今、苦しいことが起こっていても、全部自分が未熟だから、自分が悪いからと、思っていて相談することに恥ずかしさを持っておられます。
しかし、うまくいっていないのは、お母さんだけが悪いのではないのです。確かに、赤ちゃんはお母さんのお腹の中で育ち、生まれてからもお母さんのオーラの中で育ちます。
出典:私は私をあきらめない~家族トラウマを超えて~ (外川智子 著) 37ページより
ミルクを飲むときも、眠るときもお母さんの腕の中、オーラの中で過ごす率は高いので影響しているところは大きいかもしれませんね。
さらに、学校へ進めば教師などの権威者、その時代や社会のルールからインプットされ「してはいけない」「しなければならない」というメッセージも、子どもを非常に強い力で支配します。
例えば、私たちは「我慢することがいいこと」と思い込んでいないでしょうか。
子ども時代に、電車内では「おとなしくしていてね」「騒がないでね」と、教えられてきました。お菓子が食べたいと言っても「ご飯食べてからね」と言われてきました。
色々な形で我慢することを覚えました。
しかし、我慢というのは主体的な選択ではないので、最終的に必ず人のせいになってしまいます。すると、誰かを責めたくなってきます。文句も言いたくなるでしょう。このように誰かがじっと耐えればうまくいくというような関係は人をちっとも幸せにはしてくれません。
過剰な我慢は子どもにとっては理不尽ですし、「お母さんがダメって言った~!」と文句が言いたくなります。
文句が言える関係ならいいのですが、(我慢する力も、人として必要なことですから)
ACの家庭では、文句が言えない関係ですから、子供時代からつらかったですよね。
例えば、クライアントさんの中には、「大人しい子がいい子」「わがまま言わない子がいい子」「お母さんの言うことを聞く子がいい子」などと言われて育った方、あるいは、兄弟や家族の中に病気や様々な理由で、その人が優先される状況があると、自分は見てもらえず、いつも我慢してこられた方もいらっしゃいます。「いくら我慢して待っていても、次は私の番」と思って待っていても自分の番は来なかったとおっしゃる方もいました。切ない話です。
そのような、子供時代に刷り込まれた考え方や行動の仕方が、今も残っていて自分を苦しめています。
「ウーバーイーツ」のコマーシャルが好きとおっしゃられていた方も、「手抜きご飯はダメ」と言う考えに縛られて、必死に仕事と子育てと家事全般を担ってこられました。苦しかったはずです。いまでは、必ずしも手作りでないといけないという考えは変わり、肩の力が抜けてくると、逆に、いかに早く簡単にできるかと食事作りを工夫したりするのが楽しくなったとお話しされています。
その他にも、自分を縛り付ける考え方はたくさんあります。
ご自分自身でも「私は母性が欠けているんです」とおっしゃってすぐに怒ってしまう自分を責めて「良い母」「正しい母」でなければならないとご自分を責めている方も多いですし、どんなに苦しめられてきたとしても、「親の事悪く言うのは良くない」「親には産んで育ててもらった恩があるから親の面倒を見るのが当然」と思い込んで必死で親の介護をしていらっしゃる方も、「夏休みやお正月は、絶対に実家に帰省するもの」と思い込んで、実家には帰りたくないのに…と悩まれる方はとても多いですね。
このように自分の中にいつの間にか刷り込まれてしまった家族に関する常識らしきものが、勝手に「いい人像」を作り上げ、その常識にがんじがらめにされて、家の中でも外でも人間関係の悩みを抱えてしまいます。
21世紀の幸せの処方箋は、
私たちは、育ってくる中で教え込まれた「いい子像」、大人になっては世間の常識に照らし合わせた「いい人像」を目指すものだから、自分はダメだ、ダメだと自分自身を責め、どんどん苦しくなってしまうのです。
自分の中のインナーマザーと言っていますが、子供時代に怒られた時の記憶が今もあなたを脅かしているのです。
人間関係に苦しむ私たちにできることは、自分自身の感情を正直に見つめ、できるだけ自分自身を幸せにしていくようにすることです。
不安の解消を自分の外に求めるのではなく(夫が変わりさえしたら、など)自分の中にそれを求めていくことです。
父らしく、母らしく、家庭らしくではなく、「自分が幸せか」ということを自分に問うことです。そして、うまくいっていない、苦しいと気づいたら、それを変えていくことに取り組んであげましょう。
自分は、何が、どうでなくてはいけないと思っているのか?
本当に、自分だけが悪いのか? 違う見方はできないか?
自分が楽になるために、正直に自分を見つめてみましょう。
もちろん、そう簡単なことではないことは分かっています。
そもそも、自分を大切にするということや、楽しいとか、悲しいという感覚も分からなかったり、自分が今どう感じているのかも、よくわからなかったりしていることも、それがつらいということさえ「自分がもっと頑張れば」「もっと我慢すればいいこと」と思って頑張り続けていることもありますね。
自分の色々なところにトラウマの影響を受けていて、そのせいでうまくいっていないのかもしれません。
多くのクライアントの方々がおっしゃるのは、
- 子ども時代から、親の言う通りにしないと叩かれるなどの暴力を受ける。
- 親のケンカで家の中は荒れている。
- 父親のアルコール依存で、家の中がグチャグチャになっていた。
そんな、もうどうしようもない中で、心穏やかになど暮らせるはずもなく「今日1日が無事に終わること」だけを願っていたと。
だから1年後こうなっていたいなんていう夢なんか持てないこと。
将来の夢なんて見れないのだと。
だから、目標も、目的も持てない、そんな生き方しかできなかったと。
さらに、ACの方々のものの見方に「勝つか、負けるか」というのがあります。
弱みを見せたら「負け」る感じがするとおっしゃいます。とても複雑な思いです。
そのせいで、助けを求めることができずにいます。どこまでも頑張ってしまうのです。
でも、「苦しい、もう一人ではどうにもならない」と思ったら、誰かに相談することも必要です。
言ってみれば、今ご相談に通われている皆さんは、「負けを認めた方々です」。
モチロン、それは、「負け」なんかじゃないのですが、逆に「自分を信じる力を持っている方々です」
「自分を信じて、最後の賭けのようなもの」とおっしゃった方もいらっしゃいます。
まだ希望をちゃんと持っているということですね。
クライアントのお一人は「私はただ、普通に仕事がしたいんです。」とおっしゃいました。
「こんなに人を怖がらずに、普通に気持ちを言いたいだけなんです」とおっしゃいました。
「特別なことを求めているんじゃない、ただ、普通になりたい。」
「他の皆のように、楽しく、気楽におしゃべりがしたい」だけなんです。
自分を責めるのは一旦おいて、そんな自分の望みを叶えていきましょう。
出典:私は私をあきらめない~家族トラウマを超えて~ (外川智子 著) 39ページより
母親の考えや価値観の影響を受けている状態
自分のオーラの中に母親のオーラが今も入り込んでいる
あるいは重なっている
次は、自分を幸せにする人間関係についても考えていきましょう。
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